先生あのね・・・
連れていかれた先は指導室。
私たちは向き合って座った。
「先生、次の授業が始まりますよ」
嫌味っぽく言った。
「待たせておく」
先生は怒ったように答え
「何故、HRも数学の授業も出ない?」
と続けて言った。
「まるで先生みたいに言うのね?」
「当たり前だ。俺は先生だ」
先生の迫力に負けて私は俯き
しばらく沈黙が続いた。
「この前の事は悪かった。
でも、それと授業に出ないのは別だぞ」
先生は穏やかに話した。
でもそれが私を余計に苛立たせる。
「別?何が別なの?
私はあんな事があった後に
そんな風に割り切れない。
先生は大人で平気かも知れないけど私には出来ない…」
私は溢れてくる涙を止めることは出来なかった。
そんな私に先生はポケットから鍵を出し、それを握らせるように渡した。
「これから俺の授業に出ないなら家で待っていろ。
きちんと話がしたい。
萌が家へ行ってなければ
俺は家に入ることが出来ないから」
強い瞳で私を見つめる先生。
それだけ言うと
先生はその部屋を出て行ってしまった。