先生あのね・・・


結局、先生の家で帰りを待ち

普段よりも早く帰宅した先生に鍵を手渡し

そのまま帰ろうと部屋のドアに手をかけた時


その腕を掴まれて

強引に先生の腕に包まれた。



「きちんと話がしたいと言っただろ?」


「私は今更話すことなんて何もない。

もういいから離して!!」


精一杯の力で先生を突き放して背中を向けた。


「萌にとっては今更なのか?」


先生は静かに尋ねた。





「もうこんなのは嫌。
私はずっと生徒としてではない私を見てほしかった。

でも、先生は何があっても生徒としてしか見てくれない。
それ以上にもそれ以下にもなれなかった・・・・

それでも‘いつかは‘って思っていたけど、もうムリ。

・・・終りにしよう?」


瞳に溜まった涙が零れないように
必死にこらえた。
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