先生あのね・・・
それから
私たちは紅葉狩りに向かった。
途中、休憩しながらゆっくりと車を走らせ
目的地が近くなると渋滞をしていたが、車の中は穏やかな時間が流れていた。
目的地に到着して
荷物を持って車を降りると
先生は
「ちょっと待っていて」
そう言って近くのお店に入ってしまった。
人ごみの中で待っていると
どこからか私を呼ぶ声。
私はそれが気になってキョロキョロしていた。
そこへ先生が戻ってきて
「荷物を持つよ」
と私の腕にあった大きな荷物を先生の手に持ち替え
私の髪についていた葉っぱを取ってくれた。
「萌、何をキョロキョロしているんだ?」
「さっき誰かに呼ばれた気がしたんだけど・・・」
先生も辺りを見回してから
「気のせいだろう?
こんな所で誰にも会わないだろうから」
と言った。
「そうだよね」
私は先生の言葉に納得をして
先生と腕を絡ませ寄り添う様に歩きだした。