先生あのね・・・


少し歩いたところに景観が見渡せる広い所があって

家族連れやカップルもたくさんいるこの場所でお弁当を広げた。


「萌、これを作るのは大変だっただろ?」

「早起きして頑張っちゃった」

屈託のない笑顔を見せた。



先生は「美味しい」と言いながら
食べてくれる。


でも、私は自分の作った卵焼きを食べて驚いた。


「先生、卵焼きは食べないでね」

私は苦笑いを浮かべた。

まだ卵焼きに箸をつけていなかった先生は

「何で?」

不思議そうに聞いた。



「味付け忘れた・・・・」


しょんぼりと答える私に

「萌らしいな」


先生も苦笑いを浮かべて卵焼きを口に運んだ。


「本当に卵の味だけだ」


そう言いながらも残さず食べてくれた。






私たちはお弁当を片づけて

しばらく景色を眺めながら話をしていた。






「萌、横になってもいい?」

「いいよ」

そう答えると

先生は私の膝に頭を乗せて横になった。



それに少し戸惑っているのに気がついた先生は

「だめだった?」

と聞いて

「大丈夫だよ」

私がそう返事をすると

そっと目を閉じた。
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