【短編集】キミをみてる。~瞳で伝える恋心~
「俺は、心配の方が大きいけど。」
「え?心配?」
「そう。
くれぐれも、変な男には気をつけろよ?」
真剣な顔で、あたしに目線を合わせてくれる。
「変な男、って?」
「襲われそうになったら、猛ダッシュしろってこと。」
「ははッそんなことあるわけないじゃーん♪」
そう言って軽く笑ってみせると
「そういうところが心配なの!」
と頭をこつかれた。
「大丈夫、だよ?」
お兄ちゃんを覗き込んでみる。
「そ、そっか。」
お兄ちゃんは、少し照れたように
そっぽを向いた。
でも、頭の上にふいに置かれた手は優しくて
あたしはまたドキドキした。