【短編集】キミをみてる。~瞳で伝える恋心~
「おはよう!!」
お兄ちゃんのもとへ駆け寄って、にっこり笑う奏さん。
笑顔もすっごくきれいで
おもわず、見とれてしまう。
「なに?」
低くて、冷たい声。
え?
びっくりして、お兄ちゃんを見た。
お兄ちゃんは、すっごくつめたい表情を奏さんに向けている。
初めて見た。お兄ちゃんのこんな表情。
「『なに?』
って、彼氏に真っ先に挨拶しに来ただけだよ?」
彼氏・・・・・
また、胸の奥が痛い。
なんともいえないせつなさでいっぱいになる。
お兄ちゃん、彼女いたんだ。
初めて知った。