【短編集】キミをみてる。~瞳で伝える恋心~
「お、お兄ちゃん!!」
さっきのこともあってちょっとこわかったけど、思い切って話しかけてみた。
「ん?なに?」
あれ?
いつものお兄ちゃんだ。
いつもの、優しいお兄ちゃん。
さっきとは、比べ物にならないくらいに優しい声色。
「ぇっと。いいの?
彼女さん。
それに『いらない。』って
それって・・・・」
別れるってことなんじゃ・・・・
「いいの。」
お兄ちゃんはそれだけ言ってまたいつものように優しく、優しく微笑んだ。
「じゃあ、俺はこっちだから。」
「うん!ありがと。」
「おう。
入学式、頑張れよ。」
あたしは、無言で頷いて手をふった。
お兄ちゃんも軽く手をふってそのまま校舎へ入っていった。