【短編集】キミをみてる。~瞳で伝える恋心~
俺は、真新しい制服を着て
部屋をでた。
「おはよう。」
「おはよう、直人。
あら、制服似合うじゃない。」
母さんは、そう言って笑う。
「おはよう。
なかなかいいぞ!」
父さんもうれしそうだ。
そうだよな。
俺はやっぱり、この人たちを悲しませるわけにはいかないよな。
俺はいつもどおり洗面所へ行って顔を洗った。
いつもどおり、いつもどおり。
いつもどおり、自分の気持ちを押し殺して家族を優先する朝。
俺は、そんな朝がすごくつらかった。