【短編集】キミをみてる。~瞳で伝える恋心~

「着替えてくるな。」



なぜだろう?

若菜には、意識しなくても
優しさをこめて微笑むことができる。




若菜の前だけ、俺は人間になれる気がする。


しっかりと、感情をもった人間に。






好きだ。





と、心が勝手にさわぐんだ。









抱きしめて、むちゃくちゃにキスをして

そのすべてを手にいれたい。


俺でいっぱいにしてやりたい。




できることなら、この手で若菜を壊したい。






できないことにほど、欲望は高まる。


けれど、こぶしを握り締めて耐え抜くしかない。






それが、父さん、母さん



そして若菜
にとって



一番幸せなことだから。




< 141 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop