私がマフィアのボスになる日
マフィアの仲間
2010年7月
ここは兵庫県の芦屋という町。関西の高級住宅街でよく知られている町。
そして、私はこの町に住む中学二年生[小城アキナ]だ。
特技は陸上の短距離走で一応県の上位だったんだけど、つい最近退部しました。

理由?

夏休みを走るだけに使いたくなかったとか、彼氏が欲しいからとか、日焼けが嫌だとか、まぁ表向きはそんな感じで。
顧問の先生はかなり引き止めてくれて3時間ぐらい話したけど、最後は

「いつでも戻って来ていいからな」

と、諦めて?くれた。
でも実は別の理由があったのだ。



終業式が終わって、夏休みの宿題が配られて、しばらく学校とはお別れだ。
一旦家に帰り、制服から動きやすい私服に着替えて、携帯と財布とキーケースの三種の神器をポケットに突っ込み、自転車で目的の場所に向かう。

そこは築30年ぐらいの古い家だ。狭い路地を入った奥にその家はある。
インターホンを一度鳴らしてから、ドアを開けて勝手に中に入る。
この町の治安がいいからか、家主が適当なのか、この家は鍵が掛かっていた試しがない。
私はまるで自分の家のように玄関で靴を無造作に脱ぎ、通路の奥のキッチンに向かう。
更に、勝手に冷蔵庫を開けて、ペットボトルのポカリを持って2階に上がる。
2階には部屋が二つあって片方から音楽が聞こえる。
その部屋のドアだけ何故か新しい。まるでそこだけリフォームしたみたいになっている。

そのドアをノックする


タタタタン←Evans Knockって言う特殊なノックだ。合言葉みたいなもの?よくわかんない。


「開いてる」

中から声がして、私がドアを開けると一人の男子が横になっている。
四角いテーブル、恐らく冬はコタツになるであろう物体が部屋の真ん中に置いてあり、配置は入ってきたドアが北側で、南はベランダ、西には窓、南西にテレビ、東は本棚とコンポがある。


この男子は同じ中学の三年[中林ジン]だ。言っとくけど彼氏ではない。

「あれっジンサだけ?」

「そうだけど、もうすぐ他の奴も来るだろうから適当に座っとけ」

私は自分の定位置のベランダ側に座り、ポカリを一口飲む。
ジンは年下だけでなく同い年からもさん付けにされてたが、省略されて最近はジンサになってる。

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