マリア教会
校舎を飛び出したのはいいが、行くあてのない小夜はトボトボと歩く。
「どうして私が…」
教師に言っても、きっと何の役にも立たないだろう。それに、もしそれがばれたらどんな仕返しをされるか分からない。
かと言って、家族のいない小夜に教会を出る事は出来ない。小夜の帰る場所はここしかないのだから。
だが唯一の帰る場所が、地獄というのはあまりに辛い。
「もう…」
死ぬしかないのだろう。
このまま生きていても何の楽しみもない。毎日続くイジメに堪えられるほど私は強くない。だったらいっその事、彼女達にみせしめのように死んでやろう。
そうすれば、彼女達は自分達がやって来た過ちに気付くはず。
「……」
いや、彼女達なら目障りな邪魔物が消えてくれてまた笑うだろうか。あの悪魔の声で。
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