マリア教会
そんな事を考えながら歩いていた小夜は、いつの間にかお御堂に辿り着いていた。
お御堂にはよく神に祈りを捧げる為に来ていたが、今日は違う。
どんなに神に祈っても神は私を助けてくれなかった。だから、神にもみせしめる為に死に場所はここがいいだろう。
今は祈りの時間じゃないので鍵は閉まってるかと思ったが、鍵は開いていた。
小夜がそっと扉を開くと、マリア像の前に誰かが祈りを捧げている。
(誰…?)
パタン、と閉じた扉の音にその人が振り返った。
「ごきげんよう」
その人を見て小夜は思わず息を飲んだ。
体中に電気が走ったように一瞬手が震え、緊張して息の吸い方さえ忘れてしまう。
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