マリア教会
この間違った魂を神に返し、創り直してもらおう。生まれ変わったら、きっと素晴らしい人生が待っているはず。
小夜が顔を上げると、いつの間にかその人が目の前に立っていた。そして、その人は小夜を抱きしめて来た。
「え?」
訳が分からない小夜はうろたえたが、その人の柔らかな感触に、鼻をくすぐるほんのりと甘い香りに動けなかった。ずっと不安で渦巻いていた心がスッと消えた気がした。
そしてその人は小夜の耳元で綺麗な声を吐き出す。
「神はあなたを愛していますよ」
その言葉に、小夜は抱きしめられたまま小さく首を振った。
あなたは何も分かってないから、そんな神みたいな言葉が言えるんだ。
「それは…嘘です。本当に神に愛されているなら、私はもっと楽しい学生生活が送れたはずです…」
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