マリア教会
その人から伝わって来る優しさと温かさ。そしてクラスメート達の悪魔の笑い声を思い出し、小夜は堪えられなくなり泣いた。
私は幼い頃から神に祈りを捧げて来た。真面目に授業も受け、誰かの悪口を言った覚えもない。
なのに、クラスメートから私の存在を否定された。
神も、私の存在を否定したのだ。
その人は小夜から体を離し、小夜の涙を拭いてくれた。そして、
「神が愛さなくても、私があなたを愛します」
「……」
出会ってそれほど経っていないのに、そんな事を言われた。
小夜を死なせない為の言葉なのか。いや、この人の言葉は本物だ。小夜の冷えた心をこんなにも温めてくれるのだから。
「また会いましょう」
言いながらその人は小夜の手を握る。
手の温もりが強張った体を和らげてくれ、小夜は少し笑った。
「やっぱり、笑ったほうが可愛いわ」
そんな事言われたの初めてだ。目の前の人のほうが何倍も綺麗で可愛いのに。
何だか照れ臭くなり、小夜はもっと笑った。
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