マリア教会
元帥はしばらく小夜の顔を見つめ、そして立ち上がった。
「小夜、ちょっと付き合ってくれる?」
「え?は、はい」
外は雨だというのに、元帥は外に出てお御堂の裏へと向かう。
「あの…元帥どちらへ?」
傘を持ってない小夜は、元帥の傘に入れてもらい聞く。そしてお御堂裏に近付いた時、
「聴こえる?」
「え?」
耳を澄ますと、雨の音に混ざって誰かの歌声が聴こえて来た。
見ると、傘も差さず、雨空に向かって歌う少女がいた。
柔らかなメロディーに綺麗で透明な歌声。その人は小夜達に気付かず、ただ天に向かって歌う。
「優しい歌…。あの人は?」
聞くと、元帥はニッコリと微笑む。
「天使よ」
「天使?」
その瞬間、降り続いていた雨が止んだ。
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