マリア教会
天使の歌声を聴いた翌日、小夜の心は軽かった。ずっと頭の中では天使の歌声が流れていて、気持ちが楽だった。学校に来るのにこんなに楽な朝は久しぶりだ。
だから、下駄箱に上履きが無くても気にしなかった。
靴下のまま教室に行くと、小夜の机が無くなっていた。
「私の机は…?」
独り言のように呟いた小夜に、誰も反応を見せない。いつもの笑い声を上げるだけ。
小夜は窓の側でいつものメンバーと談笑しているアイリに近付き、
「私の机、どこやったの?」
「さあ?知らなーい」
笑いながら惚けた彼女がチラッと窓の下を見た。
小夜も見下ろすと、下は生徒達が過ごす休憩場所で、ベンチと小さな噴水がある。
その噴水の中に小夜の机が入っていた。
「何でこんな事するの!?」
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