マリア教会
午前の授業が終わり小夜は昼食を取った後、午後の授業が始まる前にトイレに行った。
そして出ようとしたが、何かがつっかえているのかドアが開かない。
「え?何で?誰か!誰か開けて!」
激しくドアを叩いて助けを求めた時、頭上からバケツ一杯の水が降って来た。
「……」
全身水浸しになり呆然と立ち尽くす小夜の耳に届いたのは、あの悪魔の笑い声。間違いなくアイリの声だ。
笑い声が聞こえなくなってからしばらくして、外からドアが開けられた。立っていたのはシスターだ。
「どうしたのですか!?」
大袈裟に声を上げるシスターの顔は見ず、小夜はその場から立ち去ろうとした。
「何でもありません…」
だがシスターは小夜の腕を掴み、
「何でもないのなら、なぜあなたはそんなに濡れているのですか?」
「……」
全て話してしまおうか。そうすればこのシスターは私を救ってくれるだろうか。私は楽になれるだろうか。
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