マリア教会
「失礼します」
中に入ると大きな机の前にナンバーⅥが立っていて、レイラを見ると笑顔を浮かべた。
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます」
向こうは私の事知っているのか、最初に言われたのがそれだ。
レイラはナンバーⅥにソファーに座るよう勧められ素直に座った。ナンバーⅥもレイラの目の前に座り、じっとこちらを見ている。
こんな緊張感は初めてだ。高校で生徒会長を務め、全校生徒の前で挨拶をした事もあるが、あまり緊張しなかった。
なのに、たった一人に対してこの緊張感は何だ。初めて感じる空気に吐きそうになる。
「ところで…」
呟いたナンバーⅥに顔を上げる。ナンバーⅥはレイラの緊張を感じ取ったのか、優しい微笑みと口調で話す。
「ここに来た理由は聞いてる?」
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