蝶の如く×月に瞬け
オーナーはそう言って柔らかく笑った。
「麗奈はこの店に必要な存在なんだ。俺はあいつを信じてるしな」
いいな、と素直に思った。
麗奈さんはみんなの憧れで、オーナーに頼られてて、お客様の癒しの存在。
―――羨ましい。
「分かりました、頑張ります」
目を合わせずに、私は言った。
オーナーはお決まりの紳士スマイルをして、私の頭を軽く撫でた。
「頑張れよ」
「…っ」
この時、胸がきゅんとしたのは、オーナーには内緒です。
「おはようございまーすっ」
「おはようございます」
夜が近くなってくると、先輩たちが出勤してくる。
私は……。
「あいだだだっ…」
「ごめーん、髪引っ張りすぎちゃった?」
さつきさんに髪を盛ってもらっている。
「さつきさんっ、自分でやりますって!」