蝶の如く×月に瞬け
「いいからいいからっ!ほら、前向いて」
強引なさつきさんには敵いそうにない。
―――いい人、なのは分かるんだけど…。
「うっし、できた!」
―――わぁ…。
出来栄えは、最高。しかも私好み。
「可愛い…ありがとうございますっ!」
素直に嬉しかった。
「いえいえ、今日から頑張ってね!」
「はいっ」
盛られた髪を鏡に映し、初仕事に胸を躍らせてると、ドアが開いた。
綺麗なドレスとアクセを身に付けた麗奈さんが入ってきた。
…写真より、数倍美人。
私は椅子から立ち上がり、麗奈さんの前に立った。
「…あなたが、桜さん?」
「はい、今日からお世話になりますっ!」
「えぇ…よろしくね」
麗奈さんはにこっと笑って、握手を求めてきた。
私も慌てて手を差し出す。
―――思ってたより、優しそう。