こいのおくすり
 
その日、日花璃は両親達や病院の先生方に

手術を受けることに決めたことを伝えたらしい。

何度も両親や先生方に「いいのか?」と

聞かれたらしいけど、それでも日花璃は

「これでいいの。あたし、頑張るもんね。」の

一点張りだったらしい。

あの日から10日が経った日

俺は相変わらず日花璃の見舞いへ行った。

今日は土曜日で学校は休みだし

面会時間の最初から最後まで

ずっと一緒にいるつもりだ。

それに…明日は日花璃の運命の日。

手術の日でもあった…。

「こたろーっ、大丈夫?元気ないよ?」

その日花璃の声で我に返った。

「大丈夫だ。」

「本当にー?無理しちゃあだめだよっ?」

「大丈夫大丈夫。お前こそ無理すんなよ。」

「あたしは大丈夫だもんねーっ。えへへっ。」

日花璃はあの日からちゃんと笑うようになってた。

それが安心感でもあり逆に不安でもある。

日花璃を失ってしまったら…?

考えたくないけれど考えてしまう…

すると、日花璃が俺の手を握ってきた。

「こたろー、あたし、頑張るからねっ。」

日花璃は俺が考えてることが分かるみたいだ…

「うん、本当に頑張って…お願い…。」

「当たり前だよ、あたし、ちゃんと約束守るからね…。」

そう言って俺に微笑んだ。


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