こいのおくすり
 
あの後手術は大成功して。

その電話が来たときは

本当に嬉しくて仕方がなかった。

次の日すぐに日花璃に会いに行って

お互いに手術の成功を喜んだ。

日花璃はもうしばらく入院が必要で

高校は出席日数の関係で

留年が決定していたけれど

また学校に通えることを喜んでいた。

日花璃が退院したのは1月のことだった。

退院してから2,3日後

日花璃はまた学校に通い始めた。

もちろん途中までは俺と一緒に。

そしていつも帰りに楽しそうに

学校であったことを話す日花璃。

それが自由登校になるまでの数日だけ続いた。

自由登校になってからは俺は日花璃に

少しずつ勉強を教えてやった。

「こたろぉ…こんな難しいのできないよぉ…」

「弱音吐かない。ちゃんとやれ。」

「う~…」

…日花璃は頭が悪かったのを忘れてた…

だから俺と一緒の高校行けれなかったんだっけ…

そして、卒業式を迎えて、俺は高校を卒業した。

そして春になって、俺は大学に進学した。

もちろん、学部は医学部。

何もやりたいことも夢もなかった俺だけど

日花璃が病気になってから、大切な人を守りたい。

そんな人の手助けをしたいと思うようになった。

だから医者になる道を選んだ。

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