こいのおくすり
 
「爽、他には大丈夫?」

「あぁ、大丈夫大丈夫」

「本当に?」

「本当だって。だってもうこんなに買ってるじゃん。」

今日はお袋と一緒に買い物。

お袋と2人っきりで買い物するのは小学生ぶりくらいだろう。

買い物といっても来月から俺が県外の大学に進学するために

必要なものを買いにきていた。

最初はスーツとか服とか台所用品とか布団とか

あとはまだあっちにはないような家電製品。

必要なものだけを買いにきたはずなんだけど…

「ねぇ、爽、あのお店入ってもいい?」

「また~?」

「だめ…?」

「別にいいよ。」

「やった。ありがとっ。」

そう言って笑顔になって可愛い感じの雑貨屋に入っていくお袋。

俺もその後を追う。

これで何件目だよ…と思いながらも

お袋が楽しそうだから文句が言えない。

「ねぇねぇ爽、これなんか可愛くない?」

「どれ?」

そう言ってお袋が指差したものはお袋の好きそうな

可愛い感じのストラップ。

「いいんじゃねーの?」

「本当に?買っちゃおうかしら…」

なんて本気で悩みだすお袋。

すると隣から店員さんの声。

「この商品とっても人気なんですよ~。」

「そうなんですか?」

「色違いもありますし、カップルなんかでつけてる方もいらっしゃいますよ。お客様も彼氏さんと一緒にいかがですか?」

と俺の方を向いて言う…。

カップル…?



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