こいのおくすり
「あ、えっと、この子は…「欲しいの?」
お袋が店員さんに俺が息子だと説明しようとするのを
俺はわざと止めた。
確かに俺のお袋はどっちかというと可愛い系で
まだ20代くらいでも通るくらいの見た目だった。
「あ、うん、可愛いかなあと思うよ。」
「なら俺が買ってやるよ。」
「え?いいって!爽今そんなにお金持ってないでしょ?」
「これくらい買える財力はあるっつーの(笑)」
「でも…」
そんな風にずっとぶつぶつ言ってるお袋を気にせず
俺は先ほどのストラップを買ってあげた。
もちろんお袋の分と、買わないと拗ねる親父も分も…。
そして店を出るとお袋に
「はい、これ。」
と言って買ったストラップを渡した。
「ありがとう!」
お袋はとっても嬉しそうだった。
そして時間を見てみるとそろそろいい感じの時間だったので
「お袋、そろそろ帰らないと、澪達帰ってくるよ。」
「そうね、最後に晩御飯の材料買って早く帰ろっか。」
ということで晩御飯の買い物を済ましてお袋と駐車場まで戻って家に帰った。
「ただいま。」
「お帰り~。お腹すいたあ。」
「ちょっと待ってね。今から作るからね。」
家に帰ると8歳下の妹、澪がもうすでに家にいた。
「あ、爽、買ったもの、ちゃんと整理しておいてね。」
「分かった。」
お袋にそう言われて、俺は今日買ったものを整理して
荷造りの続きを始めた。