酢豚

決戦前夜

少年は椅子に立ち、声を張り上げた。



「男たるもの負けると思っていても戦わなければいけないときがある。ってゆうか、負けるのやだ！お前にもわかるだろ？」





少年の言い切って満足そうな表情に少女は深いため息をついた。





「全然わかんない。私男じゃないから。ってゆうかさ、何であんたが私の部屋にいるの？」






「大丈夫おばさんにちゃんと許可とったし、ゆきの荷物なんか漁らないから！」




満面の笑みを浮かべる少年にゆきはまた一つため息をついた。






「私ももう中３だし、何より女の子なんだから気を使ってよ。つーか、バカひろ！いい加減椅子から降りろ。」




少年ひろと少女ゆきは生まれてから中学校までずっと一緒の幼なじみ。
あんまり仲がいいから学校では「ひろゆき」というコンビ名すら浸透している。




ひろはゆきの言葉にびびりながらゆっくり椅子から降り、正座をして深刻そうな顔でゆきを見た。





ひろが口を開こうとした瞬間、ゆきが一言。

「断る！」