禁断の恋はじめます
「ほら」

そう言うと啓吾は私の手袋をとって
自分の手袋に私の手を入れた。


冷たい指と指が絡まった。


「これひゃっきんだから伸びるんだぞ。」


手袋の中で指がお互いを感じ合って
ドキドキした。


「いつから知ってたの?」


「なんかさ…細々した逞しい足音が
追ってくるから…変態か??って思ったら
朱奈がいた~~。」



「わかってんなら
もっと早くいってくれたらいいのに。」




「だってさ~~ここ人通りないだろ~
それまで我慢した。」



そっか・・・
さっきまでは結構人がたくさんいたから


「一目を気にしないで甘えたい…。
千沙さんみたいに……
啓吾に触れたい……。」



「朱奈……。」
啓吾の声がしずんだ。



「わかってるよ……。
わかってるって……。
ただいってみただけだよ……。」



 ね…啓吾…


うちらいいんだよ……。
だって他人なんだもん……。
本当はここでキスしてもいいんだよ……。
うちら兄妹じゃないんだもん……。



心の中でそうつぶやく…


そう言えたらどんなに楽なんだろう
啓吾が傷つかなかったら……


ここでキスできるのに……。
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