禁断の恋はじめます
「ママ?」恐る恐る声をかけた。


「朱奈…どうしよう…
祥子の実家で啓吾に会わせろって言ってきた。」



「え…なんで?」




「祥子の両親が死ぬ前に会いたいって
言ってるらしいの。」




「だって……」




「そうなのよ。
あの人たちは殺人者の子供を
育てるのは無理だって施設に入れるって
承諾したんだから
今さら啓吾に会いたいなんて言うなって
だいたい啓吾になって説明する?」



「なんてするのか
想像もつかないよ……」

私も急に不安になった。


啓吾の笑顔が曇るのは辛い……



「おじさんがもう末期でね…
会ってみたいっていうらしの。
娘の忘れ形見に今さらね……。
ずっと知らん顔してたのに……」



ママはため息をついた。



パパとも相談して
昔お世話になった人のお見舞いに
家族で出かけることにした。


向こうのうちには
絶対に啓吾にばれることが
ないようにしてくれと
ママは念を押した。


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