禁断の恋はじめます
病棟の待合室には人が何人かいた。

パパと話してる男の人が啓吾に気が付き
一瞬目が止まっていた。


「啓吾 パパの友達なんだ。
水上さん ここのおじいちゃんとおばあちゃんに
ずい分世話になって……
啓吾も可愛がってもらったんだよ……。」


パパはきっと作ったシナリオを必死に
頭に叩き込んだんだろう。


 頑張れ…パパ

私は緊張感におし潰れそうだった。


「啓吾…くん?
大きくなったね……。ビックリしたよ…。」



「あ…啓吾です。
はじめまして……。」




「水上です……。
今日はわざわざ来てもらってごめんね。
うちの親父がちっこい頃の啓吾くんを
可愛がってて…もう…長いことないから
急に会いたがって無理言ってきてもらったんだ。
俺らに子供がいないもんだから……
孫みたいに思ってて……
ちょっと記憶が曖昧になってて
おかしなこと言うかもしれないけど
許してね……。」



「そうなんですか。
あ…わかりました大丈夫です……。」



啓吾はホントにかっこいいって
思ってしまう・・・。



その人は啓吾を優しい目で見つめた。



多分 赤ちゃんだった啓吾を
思いだしているんだって思った。
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