禁断の恋はじめます
代表選手として啓吾がキャンプに出かける朝


家の中はバタバタしていた。


「啓吾~忘れ物ないの?」


「うん大丈夫~」



「ケガだけはするなよ…チャンスを逃すなよ。」


「わかってるって~」


私はその会話を複雑な思いで聞いていた。


  可哀そうな勇樹……

私を助けさえしなかったら
今頃こうしていたのは勇樹だった。


「いってくるぞ朱奈。」


「頑張って啓吾~」


階段の踊り場ですれ違った。


「おまえがそう言ってくれたら
俺やれる気がするよ。」


自信に満ちた笑顔に久々にキュンとした。


「できるよ啓吾なら……」


夏休みに入って一週間のキャンプで
どれだけアピールできるか…
啓吾の目は輝いている。
< 199 / 443 >

この作品をシェア

pagetop