禁断の恋はじめます
心は動揺していた。


 今さら…もう私を混乱させないで


私は胸をおさえた。
啓吾の濡れた体が私のブラウスを
しっとりと濡らしていった。


「好きよ…苦しいくらい……
でも私たちは愛し合ってはいけない……。」


血はつながっていない
だから愛し合うことには束縛なんてない
だけど

啓吾が自分を家族じゃないと
知った時
きっと訪れるたくさんの真実に
押しつぶされてしまうような
恐怖感で一杯になる。



勇樹のように啓吾は強くない……。


家族という暖かいクッションで
お日様の日をたっぷり浴びて
育ってきた啓吾が


真実を知った時が…怖い


きっと今 両親も同じ気持ちなんだろう


啓吾の警戒線が……
切れてしまうことを
私たちは恐れている。


それは今まで嘘をつきとおしてきた
私たち家族への
目に見えない恐怖感だったりする。
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