禁断の恋はじめます
東京のJ1のクラブから啓吾に
オファーが来たことを知ったのは
そろそろ雪が降ろうとしている10月だった。


学校では大騒ぎだった。
この学校からもしかしたら
日本代表選手が出るかもしれない
そんな先の話までして盛り上がっていた。


「ママ 啓吾はどうするの?」


「本人に決めさせようと思って…
啓吾の人生だから……
担任の先生は頭もいいから大学行って
卒業してからは?ということも言われたみたい。」


「そっか……
そうだよね~啓吾の人生だもんね。」


小さい頃からなんでもできる啓吾だった。
それに比べて私は
努力してもダメなこともあったりして…
前まではどうして兄妹なのに
こんなに違うんだろって…真剣に悩んだっけ…
でもやっぱウチは
パパもママもどっちかと言えば
不器用だから…啓吾はやっぱ
今思えば違ったんだよね……。



啓吾が帰ってきた。
何か腑に落ちない顔をしていた。


「どうしたの?」


普段通りのママの声
私もいつもの風景と遠くから見ていた。


「今日さ…ほら
前田さんって前言ったじゃん。
あのおばさんがおかしなこと言うんだよね。」



  前田

前田という名前に心臓が凍りついた。
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