禁断の恋はじめます
「ちょっと買いものに行ってくるわ。」


ママは私に目で合図して
出かけていった。


「かあちゃん変だよな。」


「そう?パート先で何かあったんじゃない?
それともパパの浮気とか?」

「浮気?とうちゃんにはないな~」

啓吾が爆笑した。


「ね…啓吾…行っちゃうんだね。」
思わずそう声をかけた。


「あ…うん…
さっき言ったこと半分ほんと
半分逃げるんだ。」


「逃げる?」


「おまえと先輩見てんの辛いから…。」


心臓がキュンとなる。


「や…そんなこと言わないで…。
啓吾だって千沙さんいるじゃん…。」


「千沙とはもうダメかな~
俺はやっぱ器用じゃねーし
おまえと天秤にかけて同じくらい
好きなのはやっぱサッカーしかねーから。
本気出してサッカー道突き進んで
おまえのこといつか妹だって
あきらめられるように修行してくる。」


  啓吾………


私は啓吾の胸に飛び込みたい衝動を
必死におさえている。


「もっと大人になりたい。
おまえのこと忘れさせてくれんの
サッカーしかねーから……。」


  苦しいね…うちら……


私は啓吾の背中を見つめていた。
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