禁断の恋はじめます
それから啓吾は私たちと
顔を合わせないようにしているのか
早くに出かけて 
帰ってきても部屋から出てこない



「啓吾…ご飯食べないの?」



「うん…食べてきたから……。」
啓吾は部屋越しにママに答える。



ママは肩を落として
階段を降りて行く。


刺激できない啓吾はまるで
ガラス細工のように繊細で
壊してしまわないように
大事に扱う。



「啓吾…ママ心配してるよ…。
パパも…出張やめたみたいだし…」



「うん……
大丈夫だって言ってんのにな…
まったく
どこまでお人よしなんだろ
俺のことなんかほっときゃいいのにさ…」


啓吾の声


「だってそれがうちらの
親じゃん……」


ドア越しに久しびに啓吾の声を聞いた。



胸がキュンとした。
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