禁断の恋はじめます
「あなた…今のところに…
このまま居続けるの?」



「わからない。」



「あなたを養子に迎えて
池端夫妻は大変だったらしいわよ。
周りの反対を押し切って…
親戚縁者からも 冷たくされ……
おかあさんの父親
あなたから見たら祖父……は
すぐに 心労から倒れて亡くなったんだって。
おかあさんはお葬式にも
いけなかったらしいわ。」



雪がフロントガラスを叩きつける。


「あの日もこんな雪だった……。
真っ白な新雪が 真っ赤に染まった。
汚れたものを全て
吸い取ってくれた。
あの血で溶けた雪を…私は今でも
忘れられない。」




俺は歯がガタガタ震えた。




「私はあの日からずっと
あの光景に縛られてきた。
愛する人が真っ赤に染まった……。
美しすぎるくらいに真っ赤にね…。」




「俺に…何をしたいの?
復讐?殺すの?」



「何をしてほしい?」

横顔が冷たく微笑んでいた。



「いいよ…殺しても……。
どうせもう…生きていても何にもないから…。
死んで父親だった男の悪事を
償うよ。」

そう言いながらも体は震えていた。
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