禁断の恋はじめます
池端 啓吾



「池端……さん?」

恐る恐る声をかけたけど
患者は振り向かない。


「薬だけくれって言ったんだけど。」


低くて冷たい声


  啓吾の声じゃないよ。


私は動揺する胸を抑える。



「先生から指示で 点滴もするように
と指示が出てますから
腕かしてください。」



「さっきの看護師と違うのか?
何回言わせるんだ!?」


すごんだ声に体がびくついた。



患者が
「帰るわ。」いきなり立ち上がった。



立ち上がった患者の動きも止まった。



「啓吾……?」


唇が震えた。
時が止まった。


そこにいたのは変わり果てた


啓吾の姿だった。
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