禁断の恋はじめます
我に返った啓吾が私から 逃げようとしたから
その腕を思いっきりつかんだ。


細い腕……
人違いなのかと思って
慌てて放した。



でもどんなに様子が変わっていても
昔の啓吾の面影がなくても……
そこにいるのは 啓吾だった。


鋭く見える目に私が写っている。

また 私は啓吾の腕をつかんだ。



「啓吾……。」


「な…なんで……こんなとこに…いるんだよ。」


「神様がきっと会わせてくれたんだわ。」

声が震えていた。



「神さま?そんなもんいるわけない。」
啓吾は私の手を払いのけた。


啓吾が病室から出ようとしたから
私はその前に立ちはだかった。


「どこか悪いから点滴なんでしょ?
ベット戻ってください。
子供じゃないんですよ。」



私は看護師モードに戻っていた。



  ここでこの手を放したら


永遠に会えなくなるかもしれない
そう思うだけで必死に立ちはだかる。
< 302 / 443 >

この作品をシェア

pagetop