禁断の恋はじめます
なんとか啓吾をベットに引き戻して
点滴の準備をした。


「やめろって…。」

啓吾の注射嫌いは小さいころからで
妹の私が泣き叫ぶ啓吾の
手本になってインフルエンザの予防接種を
受けて見せた。

物心ついてからは
絶対に啓吾は注射は受け付けなかった。


風邪をこじらして
高校生の頃入院した時は
ママになんとか注射はやめてくれと
赤ちゃんみたいにダダをこねたらしい。


あの時の切ない心が思い出された。


「薬だけでいいんだって。」



「先生からの指示だから。
いい大人が…ここでは小さい子供だって
必死に我慢してるっていうのに
恥ずかしくないの!?」


思わず苛立って声を荒げた。


「心配させて…みんな死ぬほど
心配して泣いて暮らしたのに…
何してんのよ…啓吾……。」


変わり果てた啓吾に
腹が立って仕方なかった。

そして涙が零れ落ちた。
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