禁断の恋はじめます
顔をそむけて
少しおとなしくなった啓吾に

「朱奈の注射は痛くないって評判なの。」


そう言いながら素早く針を刺した。


「ちょっと血を採るから。」


「血!?そんなの聞いてないし……。」


啓吾が慌ててこっちを見て


「あ~~~針刺さって……
血……血……。」と言いかけて
体中の力が抜けた。


  まったく……


会いたくて恋しくて
あんなに心配してたのに
こんなところで心の準備もないまま
会うなんて…


何よりショックだったのは
圭吾がすっかり別人のように
なっていたからだった。


髪の毛はボーボーで 髭面で……
あんなに筋肉でたくましかった
体は細く…今にも倒れて
しまいそうだった。

「ごはんとか食べてるの?」


「食べてるから生きてる。」
ぶっきらぼうに答えた。
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