禁断の恋はじめます
「今…どうやって暮らしてるの?」


「女と暮らしてる。」



「そうなんだ。」


少し胸が傷んだけど
もうあれから何年もたったんだし
それも…アリだと思っていた。


何より変わり果てた啓吾が
わたしたちと別れてから
どうやって暮らしてきたのかが
心配になった。


「パパとママもすごく心配してる。」


啓吾は何も答えない。


しばらく無言だったが 


「俺と会ったこと…言わないでほしい。
おまえとも会うつもりもなかったのに
まさか…看護師してるなんて…
驚いた。」



「私だって…コワ系なのに
注射嫌いな患者が啓吾だとは
思ってもいなかった。」




「俺のこと…見なかったことにして
って…それは無理だろうけど
軽蔑してガッカリしてくれていいから
もう二度と会いたくないと
思ってくれていいから。」


啓吾は天井を見てそう言った。


「昔の啓吾はもうどこにも
いないんだから…朱奈には
見られたくなかったけどな。
もう…二度と会わないから……。」


啓吾はそういうと目を閉じた。
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