禁断の恋はじめます
「うちに帰ろうよ…啓吾……。
ここは啓吾の居場所じゃないから
こんな風になるんだよ。」



「池端の家にいた俺が夢物語だったんだ。
夢から覚めて現実に戻っただけだ。
だから別に…こんな人生どうでもいい…。」


啓吾は立ちあがって
またフラフラと歩き出した。


「苦しいんでしょ?だから
病院に来たんでしょ?」



私は思わず啓吾の腕をつかんだ。


細い・・・ゴツゴツと骨ばった
腕が啓吾を変えてしまった
ことを痛感させる。


しかし次の瞬間
その細い腕とは思えない力で
私の手を振り払った。



「俺のことは…
忘れてくれていいから
もしどうしても思い出したいなら
池端の家で幸せにしてる
俺だけを思い出してくれ!!
俺のことを少しでも
大切にしてくれるなら…
もう二度と会いに来るな!!」



そう言うと
右に左にフラフラしながら
走り出した。


「啓吾!!
ここは啓吾のいる場所じゃない!!」

私の声を遮断するように
玄関のドアが締められた。
< 315 / 443 >

この作品をシェア

pagetop