禁断の恋はじめます
情けなくて…自分が無力で…
啓吾を救えない
私という存在が悲しかった。


兄と妹


その呪縛で
結ばれない恋をしていた
あの時は
もっともっと
私と啓吾の心は寄り添っていた。


あんなに悲しくそして
強く愛し合っていたのに
今の私は


啓吾のために
何かをすることさえ
許されないのだろうか。



啓吾に拒絶された
ショックで私は力が抜けていた。



「帰ろう……。」



雪が降り出してきて
私は歩き出した。


啓吾の細い腕の感覚が
残っている。


医者の言葉を思い出す。


「胃がん…だね。
それにずいぶん進行してる…。」


涙が溢れだした。
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