禁断の恋はじめます
キレイな花が飾ってあった。
遺影はなかったけど その横の棚に
写真立てが置いてあった。


私はその写真を見て驚いた。


男性に囲まれて
写っているのは 田辺 裕子


右はじの男は いかにも悪そうな
顔をした男で

左はじの男は

啓吾によく似た男だった。


「啓吾?」

にしては田辺 裕子 が若すぎる。



「驚いたでしょ?私も驚いたのよ。」


声がして振り返ると
田辺 裕子が微笑んでいた。


「あ…この人は……?」


「私の夫と……夫を殺した男……。」


心臓が止まりそうになった。


「え…?殺した…?どっちが…?」


「啓吾によく似てるでしょう?
初めて啓吾に会った時…驚いたわ。
そこにいる男が生き返ったと思った。」



田辺 裕子は またタバコに火をつけた。



そう…田辺 裕子は
啓吾の父が 殺した男の妻


夫を殺した男の息子を
恋人にしている妻……。


「私ね…彼を愛してたの…。
夫より…ずっとずっと…
彼を愛してた……。」



田辺 裕子 から聞かされた
真実と
今 啓吾がいる現実と
私は混乱し始めていた。
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