禁断の恋はじめます
優しい時間
「これから食事の支度をするから
啓吾はちゃんと休んでいて。」

朱奈が毛布をかける。


「私 今日の感動
一生忘れないわ。
啓吾が帰ってきた日……。」

そう言うと朱奈の
キラキラ光る瞳から真珠の玉が
零れ落ちた。



「もう絶対 離さないから。」


「どこにも行けないよ。
行くとしたらあの上かな。」
天井を指さした。


「バカじゃないの……。」


「いつだ。
結婚式は…。俺は朱奈の
花嫁姿を見られるかな。」

美しく成長した
朱奈は美しい花嫁になるだろう。


「見られないよ。」

ぶっきらぼうに朱奈がつぶやいた。


「結婚しないもん。」


朱奈が涙をふいた。
< 356 / 443 >

この作品をシェア

pagetop