禁断の恋はじめます
父と朱奈が仕事に出かけたのに
気づかず起きて行くと
母が笑顔で

「おそよう~」と言った。


「おそよう。」
懐かしい響き
ついつい吹き出してしまった。


「よく寝られた?」



「うん 夢を見ないくらい
よく寝たよ。
二人とも出かけたんだね。」



母が朝食を運んできた。


「昨日無理させたから今朝は
消化にいいものにしたわ。」


母のお粥はよく熱が出た時
作ってくれる結構美味かった。


「そういえば…朱奈の…
先輩の連絡先とかわかる?」


「どうして?」


「いや…先輩にも会っておきたくて…。」


「すごく素敵な子なんだけどね。
朱奈はふられたのかしらね。
ずっと長くおつきあいしてたし
そんな簡単に切り替えれるのかしらね。
ママも心配だから
啓吾会ってくれる?
また朱奈のことだから
わがまま言ったのよ……。」


サイドボードから宅急便の
受け取りを出してきた。


「毎年年末にね
律儀にバイト代でお歳暮
送ってくれたんだよね。」


  さすがだな先輩は……


しばらくその伝票を見て
息を整えた。
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