禁断の恋はじめます
「今頃現れて…朱奈を
混乱させるのだけは
避けたかったけど…先輩…
俺は確実にもう少しで…この世から
いなくなる人間で…
朱奈は今きっと
そんな俺が哀れで仕方ない
そう思うんです。
朱奈が俺に寄せている感情は
同情…愛とは違う…
だから…先輩には辛い思い
させますが
俺が必ず朱奈を説得します。
だから今まで通りに
朱奈を愛してやってほしい…
お願いします。」


俺は頭を下げた。


「啓吾……
おまえは朱奈を……
愛してはいないのか?
朱奈だけの一方的な気持ちなのか?」


先輩の問いに俺は一瞬
言葉を探す。


慌てて探す言葉が見つからなくて
少し沈黙の時間が流れた。


「……先輩……
俺は…朱奈をあきらめたんです。
だから…ここを
離れた……今は朱奈に対して
妹以上の感情はありません。」


心臓が少しきゅっとした。
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