禁断の恋はじめます
私は大浴場に出かけた。
啓吾がゆっくりつかれるように
お互いに時間を合わせた。



両親の気持ちが嬉しかった。
啓吾が自分を
受け入れられるかどうかは
別としても
自分を信じてくれて
嬉しかった。



啓吾にも啓吾の考えがある。
私よりきっともっと大事に
考えているに違いないから

私は
啓吾を愛しているけれど
それ以上のことを
求めるのは
残酷だと知っている。

濡れた髪の毛を高く上にまとめた。
浴衣をはおって ソファーに
腰かけた。


大浴場もすっかり
新しくなって昔の面影は
露天風呂だけだった。



「朱奈~~~あがるから~~」


啓吾が隣の男湯から大声で言った。

 なつかしい

「は~~い」


母をおいて

私は大急ぎで浴衣を着て
啓吾と父が待つている
ゲームセンターへ走って行った。


啓吾と一緒に遊んだ卓球台は
今は新しい台に変わっている。


少しづつ時が流れている……。


幼かった私たちがいつしか
お互いに恋心に芽生える……。


そしてその心をおさえるために
必死になった日々


だけど耐えきれなくて
抱きしめ合ったあの夜


越えられない壁に負けて別れたあの日


全てこの日につながっていた
そんな気がした。
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