禁断の恋はじめます
帰って来てから俺はとうとう
現実に戻った。


「啓吾…ここに着替えを入れたよ。」


母の目が腫れている。


「かーちゃん ゆっくり寝ろよ。
目が腫れてひどいぞ。」


「人のこと考えなくていいから…。
痛むかい?」



「うん。
だけど…まだ我慢できるよ。
朱奈が針さしてくれたから
あんまり痛くなかった。」


昨日は激痛でのたうち回った。



「注射怖いなんて言ってられないよ。」


「わかってるって。」


母が俺の額を撫ぜた。


「現実に戻っただけだよ。
かーちゃん…ごめんな。
心配かけて
最後まで親不孝だな。」



「啓吾は私たちの太陽だから。」


母が涙をためて俺を
抱きしめる。



「かーちゃん…死にたくないけど…
痛くて苦しくて…
早く死なせてくれって…
俺もう頑張れないかもしれない…。」



母の胸で俺は
子供に戻ってくような気がした。
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