禁断の恋はじめます
痛みで意識がもうろうとし始めた。

自分がどんどん
衰弱してきて 痛みで七転八倒するほかは
動くということも
できなくなっていた。


  早く…連れてけよ…


薬も点滴も
もうあまり意味はなかった。


「啓吾ぉ……。」
母が俺を必死にさすってくれた。


「うん…さん……き…ゅう
かーちゃん……。」


家族の前だけは わがままな
最期を見せたくなくて
必死に耐えるも…
激痛にのたうちまわった。


「朱奈……なんとかならないの?
啓吾に…啓吾に薬ないの?」


母の声が遠くに聞こえる。


俺はいつまで戦うんだろ…。



夜勤の朱奈が

「点滴変えるからね。」と言った。


一瞬 痛みから解放されても
相槌も打てないほどに
俺は抜け殻になっていた。
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