禁断の恋はじめます
「朱奈?」


朱奈が車いすの俺に向かって
座りなおした。


「啓吾が一番望んでること…
勇樹と結婚する……。」



「え?」

俺が混乱していると
朱奈が立ち上がって
俺に抱きついた。


いい香りがして
少し落ち着いた。


「あの夜…啓吾が言ったこと
ずっと考えてた。」


「あの夜って…。」


「温泉行った夜ね……。
啓吾がキスしてくれた……。
いっぱい…昔みたいな熱いキス…。」


「おまえ…まさか
起きてたのか?すごい寝息だったぞ。」

胸が熱くなった。


「寝たふり…難しかった……。
私は必死に耐えたもの……。」


「マジか……。ヤバ……。」


「嬉しかった。
まだ私を愛してくれていて……。
それなのに…私の幸せを想って
啓吾は必死に耐えていたから……
私は寝たふりを続けた。」


朱奈の唇が俺の耳に
かすかに触れた。
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