禁断の恋はじめます
啓吾はとても喜んでくれた。
結婚式の間も
啓吾は声を出して泣いていた。


「幸せになれよ。
先輩なら安心だよ。」


そう言うと痩せこけた顔を
くしゃくしゃにして
泣き笑いをした。


最後のキスをして
私たちは 兄と妹に戻った。


私は死ぬまで絶対に忘れない…。
愛しい唇


啓吾の香り



「忘れないから…。」



啓吾の車いすを押して
扉を開けた。


あの日開けてしまった扉を
二人で一緒にしめる。


禁断の恋が……終わった瞬間だった。



啓吾が優しく笑った。



「きれいだよ。朱奈。」
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